首都圏で行われた分譲マンションの購入希望者調査よると、賃貸から分譲に住み替えたい人の理由で一番多かったのは、家賃がもったいない( 38 %)だった。次いで自分の財産がほしい( 27 %)、老後の住まいの確保( 20 %)と続く。
毎月の家計費の中で大きな割合を占めるのが住居費。福岡市内の家賃( 3LDK ~ 4LDK )の平均相場は、東区 74600 円、西区 87800 円、博多区 94200 円、南区 94400 円、早良区 109900 円そして中央区は 123500 円である。収入の 2 ~ 3 割が家賃にかかる勘定だ。
生涯、賃貸暮らしを続け、仮に 94000 円の家賃を 50年間払った場合、その総額は5640万円にもなる。分譲の場合は、ローンが終われば住まいが幾ばくかの財産となるのに比べて、賃貸の場合は、これだけ払っても何も残らないのだから、"家賃がもったいない"と思うのもうなずける。
平均寿命が 78 歳。定年後は少ない年金と預金が頼りだ。年金暮らしの家計にとって家賃負担は重い。家賃を払うのと払わないのとでは暮らしのゆとりが格段に違ってくる。住宅を購入するということは、ローン期間で生涯の家賃を前払いするようなものだとも言える。年金が頼りなくなりそうな今後を考えると、働き盛りに老後の住居費の払いをすませておくのは賢い選択かもしれない。
「分譲」の場合と「賃貸」の場合の住居費累計を試算してみると、居住年数を経るにつれて賃貸有利から分譲有利に変化する。分岐点は居住年数 35 年頃だ。 35 年を過ぎた頃には、「分譲」の場合はローンが完済しているので、以降の住居費は維持費と固定資産税くらいですむ。いっぽう「賃貸」は、35年を過ぎてからも、それまでと同様の家賃を払い続けていくことになる。長生きするなら「分譲」を選ぶ方が経済的と言えそうだ。
近年の分譲マンションは設備が充実している。セキュリティに優れ、 IH クッキング、ディスポーザー浴室乾燥機などといった快適な設備を備えている。間取りの選択肢も多いし希望に応じた変更も不可能ではない。遮音・断熱などの性能も「賃貸」よりも「分譲」の方が優れている場合が多い。賃貸マンションの場合は、家賃のことを考えると設備や仕様にはかけられるコストが限られるからだ。居住性と快適さを求めるなら「賃貸」より「分譲」といえそうだ。下に昨今の分譲マンションの設備仕様の例をかかげたので、現在の住まいと比べてみるといい。