【 用語集 】 構造編

  • 地盤と基礎

    マンションを支える基礎には、「直接基礎」と「杭基礎」の2種類がある。建物を堅い地盤で直接支えるのが「直接基礎」で、支持力が得られる深さまで打ち込んだ杭で支えるのが「杭基礎」だ。液状化現象が起こる恐れのある地盤の場合は地盤改良を施す。

  • コンクリートの中性化

    マンションの耐久性と密接な関係があるのがコンクリートの中性化だ。当初、コンクリートは強アルカリ性であるが、年月とともに酸化していく。これをコンリートの中性化と呼ぶ。中性化は表面から中へ向かって進行する。中性化が鉄筋域まで進むと鉄筋が錆びて膨張し、コンクリートを脆くする。中性化の進行速度は20年で1cm程度が目安といわれる。コンクリートの強度が高いほど中性化は遅くなり、鉄筋を覆うコンクリートの"かぶり厚"が厚いほど鉄筋への影響が 遅くなる。

  • 柱構造と耐震性

    地震による建物の倒壊を防ぐには柱が堅牢でなくてはならない。マンションの柱は、鉄筋コンクリート(RC)造と、RC造の柱の中に鉄骨の入った鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造が一般的だ。これらの柱は、主筋を囲むように"帯筋"を巻くことで「せん断破壊」を防止する構造になっている。
     ※せん断破壊=コンクリトー柱が、地震時の水平繰り返し荷重に耐えられなくなってコンクリートが斜めに割れる破壊形式。コンクリートが大きく割れてしまうと、上階からの荷重が支えられなくなる。

  • 溶接閉鎖鉄筋

    工場で特殊溶接をして閉じた形にした帯筋のことで、コンクリートを拘束する能力が高く、通常の帯筋よりも大地震時の粘り強さに優れている。

  • スパイラルフープ筋

    らせん状に連続した帯筋のこと。継ぎ目が少ないため、主筋に囲まれた内部コンクリートを拘束する効果が高まるので、地震時のコンクリート圧壊や主筋の折れ曲がりの防止に威力を発揮する。

  • ダブル配筋

    床や耐力壁のコンクリートに鉄筋を二重に配すること。床の場合は、床荷重を支え、たわみを防止するためにダブル配筋とする。耐力壁の場合はダブル配筋とすることで、せん断耐力を高めることができる。

  • アウトフレーム工法

    居室内にある構造柱をバルコニーの外側に移したのがアウトフレーム構造。室内の柱の出っ張りがなくなり、家具などの配置がやりやすい。

  • 逆梁工法

    通常なら天井側に出る梁を床側に出す工法。室内に梁が出ないので開口が大きなハイサッシを設けることができる。

  • 床スラブ

    子供が飛び跳ねたりするときの音の遮音性能は、スラブが厚いほど優れる。ただし、スラブにパイプを埋め込んだ「中空スラブ工法」や「アンボンドスラブ工法」の場合は、同じ厚さのコンクリートのみのスラブ床に比べると遮音性能が80%ほどに下がる。

  • 中空スラブ工法

    >床スラブに中が空洞の鋼管などを埋め込むことで荷重耐力を高める工法。小梁(床の荷重を支える梁)がない広いスラブが可能になり、室内空間がスッキリするのがメリット。

  • 外壁

    コンクリート外壁の厚さは、120mm厚以上は必要。ただし、ウレタン発泡による断熱工法や石膏ボードの直貼り工法(GL工法)の場合、工事品質によっては防音性能が低下するので、150mm厚や200mm厚以上あるほうが安心。

  • 戸境壁

    戸境壁は、コンクリートで180mm~200mmあるのが一般的。戸境壁の仕上げは、石膏ボードなどを貼らずに壁紙を直貼りするのが遮音に有利。

  • 間仕切壁の遮音

    間仕切り壁は、45mm幅の軽量鉄骨の骨組みにプラスターボードを貼りつけた構造になっている。使用されるプラスターボードは9.5mmと12.5mmの2種類があり、厚いほど遮音性に優れる。キッチンやバスルーム、パイプスペースの間仕切り壁には、プラスターボードを2重貼りにするなどで給排水の音への対処が必要になる。

  • サッシの遮音性能

    サッシの遮音性能は「TS」もしくは「T値」で表記する。「TS」表記には、15等級から40等級まで5等級刻みに段階があり、数字が大きいほど遮音性能が高いことを示している。「T値」はJIS規格での表記方法で、T1~T4までの4段階があり、T1はTS25、T2はTS30に相当する。

  • ペアガラス

    2枚のガラスを間に空気やガスを密封した構造のサッシ。断熱効果に優れ、結露の発生を抑える効果がある。二重サッシ(二重窓)のような防音効果はない。

  • フローリングの遮音性能

    フローリングの遮音性能は「L値」で表示される。L値は小さいほど遮音性能がよいことを示す。一般のマンションでは遮音等級L-45以下が望ましいと考えられている。

  • 直床工法

    クッション付きフローリング材を、床コンクリートに直接に貼る工法。

  • 二重床工法

    パーティクルボードに貼ったフローリングを「防振ゴム付き支持ボルト」で床スラブの上に支えるのが二重床工法。スプーンを床に落としたときなどの音(軽量衝撃音)が階下に伝わるのを軽減できる。制震材や吸音材(グラスウール)を用いて遮音性をより高めたものもある。

  • 直天井

    コンクリートスラブにクロスを直接貼りつけた構造を「直天井」という。「直天井」は電気配線がコンクリートに埋め込まれているので配線位置を変えることが困難。

  • 二重天井

    天井を二重構造にして、空間に電気などの配管スペースを設けた構造を「二重天井」という。間取りの変更や器具の取り替えなどに有利な構造だ。

  • さや管ヘッダーシステム

    住戸内の給水・給湯管の配管を、ヘッダーを用いてキッチンやバスなどに直接配管するシステム。複数箇所で同時に水や湯を使用しても水圧を一定に保つことができ、メンテナンス性にも優れている。

  • アルコーブ

    玄関ドアを共用廊下から少し引き込ませるために設けられたスペース。玄関ドアを開けたとき、その扉が共用廊下を通行する人の邪魔にならないようにするほか、共用廊下側から住戸内への直接的な視線を遮る効果もある。