分譲マンションの価格は、
仮価格(希望価格)と決定価格(発表価格)の2段階を経て
行われるケースが増えています。
具体的な手順は、次稿以降に解説いたします。
本日は、仮価格(希望価格)の計算方法を解説します。
この章をお読み頂く前にご理解を頂きたいのですが、
以下に出てくる諸々の数字はあくまで一般論です。
実際の数字は、ディベロッパーにより開きがあります。
誤解を避けるために、シビアな数字は伏せさせて頂きます。
■コスト積算による仮価格(希望価格)の計算
分譲マンションの大まかなコストは、
土地代・建設費・設計料・販売費・広告宣伝費・諸費用からなっています。
これに“ディベロッパーの利益”が加算されたものが分譲価格となります。
【土地代】
分譲マンションの価格は、まず、“立地”で大きく変わります。
土地価格は、一時期、海外ファンドマネーの投下で上昇しましたが、
直近3年は連続で“公示価格”は下がっています。
公示価格とは、毎年1月1日現在の土地の価格のことで、
一般の土地取引の際の目安とされたり、不動産鑑定士等の
鑑定評価や公共用地の取得価格などを決める際の
よりどころとなるなど、いろいろな役割があります。
【建設費】
土地代の次にコストの大きなファクターが建設費です。
鉄筋コンクリート造り、鉄骨鉄筋コンクリート造り、免震構造の採用の有無など、
建設工法によりコストが異なります。
また、建設費総額のおよそ4割を“内部仕様費”が占めています。
床材、建具、キッチン、洗面、バスユニット、サッシなどといったものです。
つまり、仕様や設備が豪華であれば、建設費もかさむと言うことです。
【設計料】
設計料は慣例的に建設費を基に算定されます。
建物の規模により大きく異なりますが、
大まかには建設費の3~6%程度でしょう。
【販売費】
概ねは販売センターの建造費および借地料、
そして販売員の人件費と事務経費です。
まず、販売センター、棟外モデルルームの建築費および地代ですが、
この費用は規模によりけりです。
東京では、販売センターおよびモデルルームの建設に
2億円をかけたという突飛な例もあります。
常設の販売センターを設けて、
販売センター等にかかる費用を抑える企業もあります。
また、経費節減で、棟外モデルルームを造らず、
建築中の建物の完成階の部屋を
モデルルームとして活用する例も少なくありません。
次に販売員の人件費、事務経費等ですが、
概ね分譲価格の4~6%を占めます。
【広告宣伝費】
パンフレット作成費やTV、新聞、チラシ、インターネットなどでの広告費用です。
概ね分譲価格の3~4%が予算されます。
【諸費用】
事業資金の金利、土地の測量費、地盤調査費、第三者機関による物件の鑑定費などの諸々の経費がこれに含まれます。
■大まかな分譲見込価格の算出
実際に分譲価格を算出するには手間暇を要します。
設計詳細が決まらないと正確にはコストの算出ができません。
土地購入を思案するとき、
魅力的な土地の場合は早めに決断しないと、他社に取られてしまいますから、
概算で分譲見込価格を算出して判断の目安とします。
【大まかな分譲見込価格を算出する計算式】
土地の坪単価(容積率100%換算の坪単価)+(建設費の概算坪単価)
それに1.5~1.6を掛けたものを、分譲見込価格の坪単価とみなします。
この章は「その2」に続きます。