「期分け分譲」とは、分譲マンションの全戸を一括で分譲するのではなく、
販売戸数を複数期に分割して分譲する販売方法です。
当初は、大規模物件の分譲の際に、集客や顧客対応を適切に行うために、
常套的に採用されていました。
しかし昨今では、総戸数が40戸程度のマンションでも、「第1期20戸分譲」などと、
「期分け分譲」を行うケースが増えています。
その理由は、一括分譲で完売することが不可能な状況になり、
残戸の販売で「売れ残りの販売」というイメージを心配するからです。
▼期分け分の完売の度に、「第○期完売御礼」というキャッチコピーを使うことで、
消費者には、好評に分譲が推移しているというイメージを与えることができます。
また、「期分け分譲」には「第1期分譲開始」「第2期分譲開始」というように、
その都度「新規分譲」というイメージでアピールできる利点があります。
そのため、販売開始後できる限り早期に「完売」を演出するために、
1回当たりの販売戸数を少なく設定して期分け分譲を実施するのです。
例えば、販売前の予告広告期間に、
インターネット反響、資料請求、事前案内会の来場状況などから、
「第1期分譲」で早期完売可能な戸数を想定し、その戸数で「第1期分譲開始」を行います。
次に、「第1期分譲」の来場数や来場者の反応を見て、
「第2期分譲」の戸数や実施時期を設定するというやりかたを、
「分譲最終期」まで繰り返すのです。
▼また、「期分け分譲」は分譲価格の決定をするのに都合が良いのです。
一括分譲の場合は、後から分譲価格の変更はできませんが、
「期分け分譲」は販売していない住戸の価格は発表されていないため、
次期以降の分譲価格を調整することができます。
第1期分譲で思うように売れない場合、
第2期以降の住戸を予定していた価格より下げることもできますし、
逆に第1期分譲があまりにも好調な場合、
第2期以降の住戸の価格を上げることもできるのです。
▼「なんだ、分譲業者に操られているのか?」
といった懸念を抱かれるかもしれませんが、
長引くの景気低迷で、売れ行き不振から大幅な値引きで赤字を計上したり、
倒産に至ったディベロッパーは少なくありません。
昨今は、消費者の動向や適切な販売価格の予測がし難く、
分譲業者も赤字事業にしないために、
不本意ながらこのような販売手法を選択している場合もあります。
前稿でお話ししましたように、
検討に値する物件であれば、事前説明会などには積極的に参加される事をお勧めします。
そうすることで、少なくとも、期待に添う物件を購入できる機会は増えるからです。